液体としての水
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水は1気圧のもと100℃で沸騰します。もし、水素結合で水分子同士がお互いに結合しなかったら、おそらくマイナス90℃ぐらいで沸騰するでしょう。水は、この予想よりも180℃も高い沸点をもっていることになります。その理由を考えてみましょう。
沸騰すると水は水蒸気になります。そのときの体積変化は、実に1600倍に増えます。水蒸気になると水分子間の平均距離は、液体の水に比べて約11倍拡がったことになるわけです。分子と分子の間に働く力は、分子間の距離が大きくなると急激に小さくなります。したがって、水蒸気になると水分子どうしはばらばらになって十分に離れている状態になっていると言えます。
水の分子は、気体でも液体中でも激しく運動をしています。この運動は水分子の熱エネルギーによるものです。液体から気体になるとき液体状態で働いていた分子間の力から解き放たれるために、水は1モルあたり9.7キロカロリーの熱を吸収します。これを気化熱といいます。水は、水素結合をつくる物質のなかでも、とくに結合力が強いので気化熱が大きくなります。
このように、水は気化熱が大きいので蒸発しにくい特徴があります。
蒸発するときの熱エネルギーは、蒸発する水分子の周囲から与えられます。このとき、水の周囲は熱エネルギーが奪われるので温度が下がるわけです。また、水の気化熱が大きいことは、生物にとっても大きな意味があります。ヒトは汗の蒸発によって体温が上がるのを防いでいます。 |
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