空気環境部会
においのQ&A

においに関する規制

“におい”に関する規制は?

悪臭防止法
 においに関する規制としては悪臭防止法があります。昭和40年代に全国各地で化製場や石油、パルプなどの工場・事業場からの悪臭による苦情が大きな社会問題になったため、国で規制しようという動きが始まり、昭和46年6月1日に「悪臭防止法」が公布されました。
 当初は「悪臭物質」としてアンモニア、メチルメルカプタン等5物質が制定されたのみでしたが、その後順次追加され、平成5年までに22物質が「特定悪臭物質」に指定されています。

平成18年度悪臭苦情件数  
順位 都道府県 苦情件数(件)
1 東京都 2,014
2 愛知県 1,681
3 埼玉県 1,314
4 大阪府 1,207
5 神奈川県 1,166
43 香川県 103
44 高知県 78
45 島根県 71
46 富山県 52
47 鳥取県 50
合 計 18,805
指定、追加された年 特定悪臭物質(22物質)
昭和47年 アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、トリメチルアミン
昭和51年 二硫化メチル、アセトアルデヒド、スチレン
平成元年 プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸
平成5年 トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、イソブタノール、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド
出典 :環境省報道発表資料 ( http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=10678&hou_id=9191

悪臭苦情件数の推移


 臭気強度は、悪臭防止法の特定悪臭物質の規制基準となるもので、臭気強度1は人が検知できる濃度(検知閾値あるいは臭気閾値)、臭気強度2は人が何のにおいか認知できる濃度(認知閾値)です。臭気強度2.5から3.5の範囲が特定悪臭物質の規制基準範囲となっています(下表参照)。
 悪臭防止法で規制されている「特定悪臭物質」は、工場その他の事業場の敷地境界や排出口等で規制が設けられています。 規制方法は、「特定悪臭物質」の濃度を規制する“物質濃度規制”と、人の嗅覚でにおいを測定する“臭気指数規制” (Q9参照)があります。

:法規制対象特定悪臭物質の規制基準範囲

  臭気強度(数字は各臭気物質の濃度:ppm)
臭気
強度1
(検知閾値)
臭気
強度2
(認知閾値)
臭気
強度2.5
臭気強度3 臭気強度
3.5
臭気強度4 臭気強度5
臭気成分∧※印は悪臭防止法規制対象物質∨ 窒素
化合
  アンモニア※ 0.15 0.59 1.2 2.3 4.5 9.2 37
アミ
ン酸
ジメチルアミン 0.00077 0.013 0.055 0.23 0.94 3.9 66
トリメチルアミン※ 0.00011 0.0014 0.0052 0.019 0.067 0.24 3
硫黄化合物 硫化水素※ 0.0005 0.0055 0.02 0.055 0.2 0.72 6.1
メチルメルカプタン※ 0.00012 0.00065 0.002 0.0041 0.01 0.025 0.15
硫化メチル※ 0.00012 0.0023 0.01 0.044 0.19 0.83 16
二硫化メチル※ 0.00028 0.0029 0.0092 0.03 0.095 0.31 3.2
低脂肪酸類 プロピオン酸※ 0.0024 0.013 0.036 0.059 0.16 0.37 1.9
イソ酪酸 0.0014 0.007 0.016 0.035 0.078 0.18 0.88
ノルマル酪酸※ 0.000068 0.00041 0.001 0.0024 0.006 0.015 0.087
イソ吉草酸※ 0.000053 0.00044 0.0013 0.0037 0.011 0.03 0.25
ノルマル吉草酸※ 0.0001 0.00045 0.00093 0.0019 0.004 0.0082 0.035
アルコール類 エチルアルコール 0.035 6.1 25 100 410 1700 28000
イソブタノール※ 0.012 0.22 0.93 4 17 74 1400
芳香族
炭化水素
トルエン※ 0.92 4.8 11 25 56 130 660
スチレン※ 0.033 0.17 0.38 0.84 1.9 4.3 22
キシレン※ 0.11 0.52 1.1 2.3 4.9 10 47
フェノール 0.012 0.059 0.13 0.3 0.68 1.5 7.7
クレゾール 0.00013 0.0024 0.01 0.044 0.19 0.81 15
ケトン類 アセトン 30 110 210 400 760 1400 5200
メチルエチルケトン 2.9 10 13 35 64 120 410
メチルイソブチルケトン※ 0.17 0.68 1.4 2.8 5.5 11 45
エステル類 酢酸メチル 7.3 21 36 61 100 180 510
酢酸エチル※ 0.25 1.4 3.2 7.4 17 40 220
アクリル酸メチル 0.0029 0.017 0.041 0.1 0.24 0.59 3.5
アルデヒド類 ホルムアルデヒド 0.41 1.9 3.9 8.4 18 38 170
アセトアルデヒド※ 0.0015 0.015 0.047 0.15 0.46 1.4 14
プロピオンアルデヒド※ 0.0015 0.015 0.046 0.14 0.45 1.4 13
ノルマルブチルアルデヒド※ 0.00032 0.0029 0.0089 0.027 0.082 0.25 2.3
イソブチルアルデヒド※ 0.0009 0.0079 0.023 0.069 0.21 0.61 5.3
ノルマルバレルアルデヒド※ 0.0071 0.0038 0.009 0.021 0.049 0.11 0.62
イソバレルアルデヒド※ 0.00019 0.0011 0.0025 0.0059 0.014 0.032 0.18
アクロレイン 0.03 0.14 0.29 0.63 1.4 2.9 13

 2005年には日本建築学会が臭気基準を制定、においの数値による評価が提案されるなど、においへの関心、取組みは高くなってきています。

日本建築学会臭気基準
場所 主な臭気 規準値
臭気濃度 臭気強度 他の規準
住宅 居間寝室 体臭     CO2 1000ppm,
換気量30m3/h.人,
タバコ臭 5   粉塵0.04mg/m3,
CO 2ppm,
換気量 375m3/本,
又は
連続喫煙者1人当り
65m3/分
便所 排泄物臭 5    
台所食堂 生ゴミ臭 7 1.4  
調理臭 13 2.1  
建材臭 ベイヒ 60
ナラ  80
合板 100
たたみ −
コンクリート10
ベイヒ 3.8
ナラ  3.3
合板 4.3
たたみ 1.5
コンクリート3.1
 
 
 
 
 
高齢者施設 談話室 10    
居室 8    
便所 5    
汚物処理室 4