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Vol.1 人と共に、住宅にも健康診断が必要

 未曾有の被害をもたらした兵庫県南部地震から、すでに10年余りが経ちました。たくさんの建物が倒壊し、あわせて多くの人の命を奪ってしまいました。その時の恐怖心は未だ抜けきれないままでいます。ところで、その後の調査で倒壊した住宅の多くにシロアリや腐朽などの生物による被害(住宅の病気)が見られたと報告され、あらためて住宅の健康を維持することが、財産だけでなく人の生命を護ることにもつながると感じさせられました。
 私達はそれぞれが健康維持のためになんらかの健康診断を受けています(中には健康を過信してほとんど健康診断を受けたことがない人もおられるかもしれませんが)。特に会社勤めをしていますと定期的な健康診断が義務付けられており、「転ばぬ先の杖」ではありませんが、病気の早期発見により病気が重症あるいは手遅れになるのを防いでいます。しかしながら、住宅に対しては健康診断(住宅の置かれている環境の診断)を行っているでしょうか。地震の教訓から、住宅の健康維持が強いては人の命や健康の維持につながることを学びました。
 「NPO法人日本健康住宅協会」の「環境共生家学部会(床下環境部会)」は、住宅の健康診断を啓蒙するための活動部会です。まずは住宅の屋台骨となる床下の環境診断に焦点を絞り、診断内容や方法などを提案し、結果を「カルテ」として蓄積していくことで、住宅の病気の早期発見につながればと願っています。私も「住宅のお医者さん」を目指してがんばって行きたいと考えております。皆様のご指導をよろしくお願いいたします。
NPO法人環境生物科学研究会 理事長 農学博士 小林智紀