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事務局だより
更新日:2006年12月11日
  ◇ 12月のおたより ◇
 
 2006年もあと1月足らずとなり、皆様は年末行事への対応で大多忙のことと思います。
 今年の住宅業界は昨年11月に発覚した姉歯事件にはじまる「構造計算書偽装問題」が喧々諤々の議論をよび、産業界で並行して発生した数々のコンプライアンス違反の諸事件とも関連して、安全性を確保するための仕組みと業務を遂行する人のモラルが問題になりました。
 早速設けられた「偽装問題に関する緊急調査委員会」は、今年の4月に報告書をまとめ、この問題は特定の人物による特異な事件という当初の認識から、業界内には住宅は長期にわたって大切に使用するものという共通認識が欠如し、建築物を消耗品並みに考える大規模で根深い構造が存在すること、関係機関の当事者能力の不足による審査の形骸化などが明らかとなりました。一生に一度の高価な買い物であるマンションの安全性は現行の建築確認制度や建築生産システムでは確保されていないという国民の不安感・不信感の増大に対処して不信を回復するために偽装問題発生の構造と背景を分析し、これまでのスクラップアンドビルド型から、良質なストックの蓄積・活用重視型への制度改革が必要であると提言しました。
 これを受けて社会資本整備審議会は今年8月に「建築物の安全性確保のための建築行政のあり方」の答申を行い、10月の閣議決定を経て、11月30日に構造計算書偽造事件の再発防止策を盛り込んだ建築士法、建築基準法、建設業法の各改正案が衆議院本会議で議決されました。
 改正法案では (1) 現行の建築士への定期講習の義務付け、(2) 建築士試験の受験資格の見直し、(3) 「構造設計一級建築士」と「設備設計一級建築士」を新設し、一定規模の建築物についての専門資格者による法適合チェックの義務付け、(4) 設計の一括再委託や工事の一括下請の全面禁止などが柱となっています。内容には多くの問題も残されておりしばらくはいろいろと紆余曲折が予想されますが2009年春の施行までには整備されることと思います。

 昔は12月と言えば大掃除の月で、家の中だけでなく、外回りも1年間の汚れや傷みをチェックして適切なメンテナンスや補修、リフォームなどの工事が行われたものですが、最近は身の回りの機器や設備類もメンテナンスフリー化して日常の点検は不要となり、大抵の人は部品や本体の寿命が来たら取り替えるのがメンテナンスだと思っていることでしょう。

 日本では、中古住宅の資産価値は税法に従って経過年数とともに減価して行きますが、質のよい住宅の実質的な利用価値は経過年数に関わらず適切なメンテナンスによって維持・向上することが可能です。
年の瀬に当たって、わが国でも質のよい住宅の建設と正しい健康住宅のメンテナンス方法を普及させ、早い機会に欧米並みにストック価値のある中古住宅市場がテイクオフすることを初夢にしたいと祈っています。

KJK事務局の年末年始のスケジュールは12月27日(水)が仕事納め、来年の1月9日(火)が仕事始めです。

皆様、よいお年をお迎えください。

日本健康住宅協会 理事 吉田佐門
 
<事務局だより>
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