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協会だより
更新日:2011年4月20日
  ◇ 4月のおたより  ◇
 

 今春の花見は3月11日に発生した東日本大震災の痛ましいニュースで、しめやかな自粛ムードが拡がり、被災者の方を励ますイベントや義援金を集める行事などに追われて、長い不況トンネル脱出のきっかけを見失いそうな気がします。

 津波によるもう一つの深刻な問題は、被災して制御不能になった福島第1原発が水素爆発を起こして原子炉建屋の上部が吹っ飛び放射性物質が大気中に飛散し、さらに放射能で汚染した冷却水を海へ放出する事態の発生です。当初、経産省の原子力安全・保安院は国際原子力指標評価尺度(INES)でレベル4(事業所外への大きなリスクを伴わない事故)と発表しましたが、事態の推移につれて3月18日にレベル5(事業所外へのリスクを伴う事故)の暫定評価に引き上げ、4月12日にはレベル6(大事故)をとばして、原発事故では過去史上最悪として有名な1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発でしか例のないレベル7(深刻な事故)と発表しました。放射能問題は原発周辺住民の20km以遠圏外への強制避難や、放射能で汚染した農畜産物や海産物などの出荷制限、その風評被害による販売不振などの様々なトラブルを惹起し、深刻な社会問題に発展しています。
 海外諸国の原発事故に対する反応は敏感かつ迅速で3月17日には米英仏などの公館は自国民に対し事故原発の80km圏内からの離脱勧告を行い、関東の外国企業では従業員の帰国や西日本への事務所移転などが実施されたようです。海外では一部の日本製品の禁輸や不買が起こり、放射能汚染水の海洋放出には近隣諸国の強い抗議がありました。
 事故から1カ月余経過した4月14日に、東電は原発の安全停止まで6〜9ヶ月の工程表を発表しましたが、現状は、危機的状況は脱したと云っても、原子炉や使用済み燃料プールの冷却はまだ安全なコントロール下にあるとは云えず、回復作業の障害となっている大量の放射能汚染水の排出問題も未解決のなお憂慮すべき状態が続いてます。

 この事故は設計時に大津波対策が施されていれば防げたものと考えられますが、たとえ完全を期したとしても、一般に大規模システムには常に潜在的な不測の事故の発生リスクを無視できないので、今回の福島第1原発の事故ははからずも環境と安全の問題に一石を投じ、世界各国の今後のエネルギー政策に大きな影響を与えることでしょう。
 健康住宅設計の際にも、今後は耐震性だけでなく津波や放射能対策の要素などについても検討が必要になります。


 KJKでは4月25日(月)に先月もご紹介しました本部事務所の移転を行いますので、当日は臨時休業します。
 このたび「住育部会」のホームページを開設しました。まだ一部未完ですがお立ち寄りください。
 5月25日(水)には春の見学会として門真市のパナソニック電工の品質評価センターとあかり光房の見学会を開催します。ご希望の方はトップページよりお申込みください。

日本健康住宅協会 理事 吉田佐門
 
<協会だより>
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