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協会だより
更新日:2012年12月18日
◇ 12月のおたより  ◇
 

 今年もあわただしく師走になり、残すところあと僅かになりました。
 ところで先の衆議院選挙では再び政権が交代する事になりましたが、今月は先月に続き「ロコモ」の話題をお届けしたいと思います。

 ロコモは「ロコモティブ(Locomotive)シンドローム」(運動器症候群)の略です。Locomotiveは「運動の」という意味(機関車という意味もある)で、骨や筋肉、関節など体を動かすために必要な「運動器」を表します。運動器は加齢によりその働きが衰えるため、歩く、立つなどの移動能力が衰え、生活の自立度が低くなり、その結果、介護が必要となってしまいます。
 このロコモを予防するには「筋肉の衰え」「骨強度の低下」「軟骨の摩耗」の三つを食い止めれば良いわけですが、その具体的な方法をお伝えしましょう。

 先ず「筋力の衰え」を防ぐ方法ですが、これが最も分かりやすいのは「歩行速度」です。現在のロコモのチェック項目のひとつに「横断歩道を青信号で渡りきれない」というのがあります。

 日本の横断歩道の青信号が点灯している時間は1メートルにつき1秒であることが多く、15メートルの横断歩道なら約15秒で赤信号に変わります。これが渡りきれないということは、歩く速度が秒速1メートル以下ということで、「最近、歩いていて若い人に追い越されることが多くなった」と感じたら、足の筋力が衰えている証拠です。
 筋肉の衰えを自覚しているのであれば、体を動かすように生活改善をしないといけない事になります。働き盛り世代だと「スポーツをしたくても忙しくて時間がとれない人」が多く、体を動かす機会を見つけるのも容易ではない様に思いますが、日々の通勤で駅や会社でエレベーターを使わず階段を使ったり、速足で歩くという程度でも何もしない事と比べると効果があります。
 また食事も大事で、筋肉はタンパク質などの材料がないとつきません。また運動をすると筋肉でエネルギーを燃やすため、運動をしてもたんぱく質が不足して、筋肉はむしろ減少してしまうので、良質のたんぱく質をしっかり摂ることを心がけましょう。


※「筋肉の衰え度」自己チェック法

 オフィスのイスに座った状態で両手を胸にあてたまま、片脚で立ち上がります。これで、体重と脚の筋力のバランスが分かります。イスが低いほど筋力が必要になり、オフィスのイスはだいたい45センチ程度。パイプイスは40センチ程度。オフィスのイスから立ち上がれないようだと、脚の筋力がだいぶ落ちていることになります。


 次に「骨強度の維持」ですが、骨がスカスカになってもろくなる「骨粗鬆症」は命にかかわる病気ではないため、軽く見られがちです。しかし骨粗鬆症の人は骨が折れやすい順番があり、50代では手首、足首です。そのときに骨粗鬆症の治療をせずに放置すると60代では背骨や脊椎が折れやすくなり、70代では太ももの付け根が折れやすくなります。疫学的な統計を見ても、1回骨折をした人は2回目の骨折をする危険性が約2倍あります。高齢者では3倍以上になる場合もあります。ここ数年で骨密度の検査法は飛躍的に進歩し、保険診療で受けられる「血液検査」で骨のカルシウム吸収と排出のバランスまで分かるようになりました。だからちょっとした衝撃で骨折したような場合、骨密度を測定したほうが良いと思います。 骨の強度アップもまた食事がポイントになります。骨の強度を決めるのはカルシウムだと思われていますが、それだけではなく、カルシウムを骨に結びつけるコラーゲン(たんぱく質)の量や質も関わっています。筋肉だけでなく骨を作るためにも、カルシウムとともに良質のたんぱく質をしっかり摂ることが必要です。

 最後に「軟骨の摩耗」ですが、筋肉や骨と比べて難しいのが、一度減ってしまうと増やすことができない「軟骨」です。中高年にはグルコサミンのサプリメントが人気ですが、関節の軟骨には血管がないので、栄養を補給しても届かないと言われています。ではどうやって軟骨に栄養を補給しているかというと、関節の中にある水分が動いたときの重力によって軟骨に浸透し、栄養分が染み込むそうです。つまり軟骨は動かさないと減る一方ですが、動かし続けることで摩耗を食い止められるということです。 さらに筋肉をつけることで関節に加わる衝撃を調節し、痛みを和らげることができます。つまり関節を動かし続けて負荷をかけ栄養を補給して、適度な運動で筋肉をつけることで摩耗による痛みを抑えられるのです。膝が痛いからといって動かずにいると少しの動きでも痛みを感じるようになってしまうので、できる範囲でストレッチなどを行ったほうがいいという事です。ただし痛みが続く場合は、無理に運動を続けずに医師に相談することが必要です。

(以上「日経トレンディネット」2012年10月11日WEB記事を引用)

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本部 安藤研治
 
 
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