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協会だより
更新日:2014年9月2日
◇ 9月のおたより  ◇
 
 雨続きの8月から9月に入り、気温も少し下がり若干過ごしやすくなってきました。しかし季節の変わり目には体調管理に十分ご注意下さい。さて今月は「第3の脂肪」を取り上げて見たいと思います。


皮下脂肪、内臓脂肪に続く「第3の脂肪」とは

 WHOの2008年のデータでは、成人でBMI(体重(kg)÷身長(m)2)30以上の人は、アメリカの31.8%に対し、日本は4.5%にすぎません。それにもかかわらず、糖尿病の有病率はアメリカで8.0%、日本で7.4%と、日本人は肥っていなくても糖尿病になりやすい傾向があります。また、メタボリックシンドローム(日本基準)の疑いのある人あるいは予備群は、40〜74歳男性の2人に1人、女性の5人に1人です。糖尿病だけでなく、高血圧や脂質異常症も、それほど肥っていなくてもリスクが高まる傾向が認められます。
 こうした民族的な差はどうして起こるのでしょうか。一つの理由として、脂肪の中身の差があげられ、特に、皮下脂肪、内臓脂肪に続く「第3の脂肪」に関心が高まっています。

 「第3の脂肪」とはいったい何者でしょうか。体の中には、皮下脂肪と内臓脂肪があることは、良く知られています。一般的にお尻のあたりがぷっくりしている「洋ナシ型肥満」は皮下脂肪が、おなかがぷっくり出ている「リンゴ型肥満」は内臓脂肪がたまっている状態です。
 しかしリンゴ型でも洋ナシ型でもない、そもそもあまり肥っていない人が糖尿病だったり肝機能が悪かったりする、いわゆる「隠れ肥満」の人がいます。

 脂肪はそもそも脂肪細胞にたまります。その代表格が皮下にある脂肪細胞(皮下脂肪)、その次が腹部を覆う腸間膜にある脂肪細胞(内臓脂肪)です。「第3の脂肪」はそれ以外の臓器、例えば心臓、肝臓、筋肉など、今のところ14カ所の臓器にたまると報告されています。脂肪は臓器の周りにたまったり、その臓器の細胞の中にたまったりします。


脂肪の貯蔵タンクは、皮下、内臓、「第3の脂肪」の順?

 食べ過ぎや運動不足などで、消費されずに余ったエネルギーは、まず皮下脂肪として蓄えられます。皮下脂肪を構成する脂肪細胞は伸縮自在の貯蔵タンクのようなもので、新たな脂肪を蓄えると大きく膨らみます。それでもため込めない場合には、脂肪細胞が分裂して数を増やす、と言われています。
 一生の中で、数を増やすことができるのは、新生児、乳幼児、思春期、女性の妊娠期と言われています。小さいときに肥満だった場合には、成人になっても肥満となる可能性が大きい理由がここにあります。

 一般的にやせている人に比べて太っている人には、皮下脂肪細胞の数が多いので、より多くの脂肪をため込むことができます。相撲の力士は、まるまると太っていますが、脂肪のほとんどが皮下脂肪です。内臓脂肪は多くないため、意外にも高血圧や脂質異常症、糖尿病は力士には少ないのです。一方、隠れ肥満の人は、皮下脂肪が少ないので肥満とは見えないのに、内臓脂肪や「第3の脂肪」がたまっているので、動脈硬化のリスクが高くなります。

  どのような因子が「皮下脂肪」、「内臓脂肪」、「第3の脂肪」への振り分けを決めているのか、まだはっきりわかっていませんが、日本人は皮下脂肪にため込む量が欧米人よりも少なく、内臓脂肪や「第3の脂肪」に流れ込みやすいと考えられています。


さまざまな臓器にたまって体をむしばむ「第3の脂肪」

・心臓にたまると不整脈を起こすことも
 そもそも心臓の周りの脂肪は、アディポネクチンという良いホルモンを出して、血管を拡張させることが知られていました。ところが脂肪がある程度の量を超えると、この良いホルモンが減ってしまい、結果として血管を収縮させてしまうのです。また、心臓の周りの脂肪が多いと、冠動脈の石灰化を起こして血管を硬くします。また心房細動という不整脈も起こりやすくなります。「第3の脂肪」は、心臓の周りだけでなく、心筋細胞の中までため込まれます。心筋細胞の中まで脂肪が入り込むと、心筋細胞の働きが悪くなり、心臓の収縮力が低下するとも言われています。

・肝臓にたまると非アルコール性脂肪肝になりやすい
 心臓と同じような現象が、肝臓にも起こります。皆さんがよくご存じの脂肪肝です。GOT(AST)よりもGPT(ALT)が高い、γGTPが高いなどの肝機能異常を指摘される人は、要注意です。γGTPは飲酒者では値が高いことが知られていますが、実はアルコールを全く飲まなくても脂肪肝となり、値が上がってくることがあります。これを非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:ナッフルド)と呼んでいます。
 肥満の人はもちろん、肥満でなくても肝機能が異常な場合は、肝臓に「第3の脂肪」がたまり、脂肪肝になっている可能性が高いのです。初期の場合は、後戻りが可能ですが、肝臓に炎症が続くと、非アルコール性脂肪肝炎(NASH:ナッシュ)となり、肝硬変や肝臓がんに進行する可能性があります。

・膵臓にたまると糖尿病になりやすい
 膵臓には消化酵素を分泌する腺房細胞とインスリンを出すβ細胞などがあります。膵臓では、脂肪は腺房細胞やβ細胞の周り、そしてβ細胞の中まで入り込んでたまります。β細胞の中まで脂肪がたまると、インスリンの分泌が悪くなり、また細胞の自滅を引き起こす、と言われています。インスリン分泌が悪くなると糖尿病になりやすくなります。
 日本人があまり肥っていないにもかかわらず糖尿病になりやすい理由として、皮下にためられない脂肪が膵臓のβ細胞に入り込み、β細胞の障害を引き起こすからだとも考えられています。

・筋肉にたまっても糖尿病になりやすい
 筋肉はインスリンの働きによって、食後に血中に出た糖質を取り込み、筋肉に蓄えます。運動をするとインスリンの働きが良くなるため血糖値が下がります。筋肉細胞の中に脂肪が入り込むと、このインスリンの効き目が悪くなり(インスリン抵抗性と言う)、糖尿病になりやすくなります。
 そのほか、腎臓に脂肪がついた場合は、高血圧や慢性腎臓病を起こしやすくなると言われています。このように、脂肪細胞以外に取りついた「第3の脂肪」は、いろいろなところで体をむしばんでいきます。


第3の脂肪は運動などで落としやすい

 太っている人もやせている人も安心できない「第3の脂肪」ですが、内臓脂肪と同様に生活習慣の改善で比較的減らしやすいことがわかっています。運動をすると初めに燃やされるのが「第3の脂肪」で、数時間の運動で効果がみられると言われます。
 これまで運動に関心のなかった人も、これからはぜひ、運動を習慣化して「第3の脂肪」を蓄えないようにしてください。


「(株)法研web記事引用」


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本部 安藤研治
 
 
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