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協会だより
更新日:2015年5月20日
◇ 5月のおたより  ◇
 

 5月に入り気温はかなり上昇しましたが、全国的に見ると意外に雨も多く、五月晴れはこれから出番が来るのでしょうか。昨今、昨年末の御嶽山の噴火に続き箱根山の噴火が取りざたされていますが、今月はマダニ感染症を取り上げて見たいと思います。


2年前の2013年、マダニにかまれて発症する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)による死亡者が相次ぎました。被害は西日本だけでしたが、2014年3月、厚生労働省研究班の調査で、SFTSウイルスを保有するマダニは全国に広がっていることが判明しました。被害を防ぐポイントを紹介しましょう。


 「SFTSは日本では昨年初めて確認された新規ウイルス感染症で、症状は発熱、全身倦怠感、下痢、嘔吐などほかの感染症と同じ。実はマダニにかまれてもSFTS発症はまれですが、まだ治療薬がないので致死率が高いのが怖いところ。ダニの活動が活発になる春から秋は特に要注意」と国立感染症研究所ウイルス第一部の西條政幸部長(表1)。

 2013年は西日本で40〜90代まで40人のSFTS患者が報告され、そのうち13人が死亡しました。インフル エンザのような飛沫感染ではなく、マダニにかまれなければ発症はしません。ただ全国にウイルス保有マダニが広がっており、北海道や東日本でも油断はできません。

■SFTSの原因になるマダニ

 日本には47種類のマダニが生息していますが、ヒトにSFTSウイルスを感染させるのはタカサゴキララマダニ(写真1)と フタトゲチマダニ(写真2)の2種類と考えられます。成ダニは4〜5ミリで血を吸うと1センチくらいになります。

■マダニにかまれて発症するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」とは

  マダニにかまれたことで発症するウイルス感染症。2011年に中国で発見され、日本では13年1月に初めてSFTS患者が確認された。血液を固める血小板と白血球が低下し、死に至ることも。主な自覚症状は発熱、全身倦怠感、下痢、嘔吐など。現時点ではワクチンも治療薬もなく致死率が高いのです。ただし、飛沫感染、空気感染はなくSFTS患者のそばに寄っても感染はしません。

■野外では腕、足、首などをカバーして予防しましょう

 SFTSの原因となるマダニは、家の中にいるイエダニとは全く別の種類(表2)で、シカやイノシシがいるような野山に生息します

 「そうした地域で農作業をする際や、山歩き、キャンプのときは、夏でも肌を露出しないことが重要。首にはタオルを巻くかハイネックのシャツを着用しましょう。シャツの袖口は手袋や軍手、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れましょう(図1)。野外から戻ったら体にマダニがついていないか確認し、なるべく早くシャワーや入浴を。上着は家の中に持ち込まないようにし、着用していたものはすぐに洗濯、天日干ししましょう。
 ただ、かまれても必ずSFTSを発症するわけではないので、落ち着いて対処してほしいのです。24時間以内ならピンセットで取り除ける場合が多いとの事です。マダニがセメント質を出して肌に固着しピンセットでは取れない場合や、取っても黒いとげのようなものが残ったら皮膚科か外科で除去を。一般的に地上1メートルくらいの植物の葉陰にいるため、吸着部位は頭、首、肩、腕、胸腹部が多いのです。かまれた直後は自覚症状がない場合が多く、2〜3日すると炎症が起こり、かゆみ、違和感、軽度の痛みが出現することも。全く自覚症状がなく、気づかない人もいるそうです。

 発熱、下痢などの症状が出たら内科や小児科の受診を。その際、マダニにかまれたことを伝えることが大切です。マダニによる感染症には日本紅斑熱、ライム病、つつがむし病などもあります。症状はSFTSとほぼ同じで区別がつきにくいが、こうした細菌感染症なら既存の抗菌薬で治療ができます。SFTSの予防についてはワクチンの研究も始まったが、現時点ではかまれないようにするしかないようです。

マダニにかまれたときの処置法

1.肌についているのを見つけたら
ピンセットで皮膚に近いところからはさんで垂直に抜きます。(図2)。

2.黒いとげが残っていたら
黒いとげのようなものや虫体の一部が残っていたら1〜2日以内に皮膚科または外科の受診を。

3.熱、吐き気・嘔吐、下痢、全身倦怠感などの症状が出たら
このような症状が出た人は内科へ行き、マダニにかまれたことを必ず伝えましょう。

「日経ヘルス2014年6月16日記事引用」


 日本健康住宅協会ではアレルギー疾患の原因となるチリダニをテキストで取り上げていますが、マダニは生死に関わるため、これからの時期外出や屋外の作業時にはSFTSに感染しない様十分注意が必要です。


 日本健康住宅協会では第37回健康住宅スペシャリスト「室内空気質診断士」養成コースを6月6日(土)大阪で開催致します。申し込み受付期間は5月7日(木)〜5月29日(金)で、申込は協会HPにアクセスして申し込みフォームに必要事項を記入後、協会まで送信下さい。

 

本部 安藤研治
 
 
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