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見学会
 KJK『秋の見学会』レポート

10月4日(水)に奈良県奈良市にある大和ハウス工業 総合技術研究所の見学会が開催されました。
   秋の見学会は大和ハウス工業株式会社のご厚意で、同社の総合技術研究所を見学させていただいた。この施設は関西文化学術研究都市の平城地区(奈良市左京)に立地する。見学者は定員30名を予定していたところ、39名の多数となった。

  最初にテーマ館のコミュニティホールで濱野室長のご挨拶と、ビデオによる概要説明を受けた。ここ総合技術研究所は、1994年に大和ハウスの創立40周年を記念して設立された。それまでの中央試験場と研究開発部門が一緒になって、各種の試験や研究開発を行っているとのこと。
 早速、2班に分かれて見学開始(この報告は、筆者が属したグループの順を追う)。まず同じ館内の「ミュージアムフロア」へ。世界各地の特色ある民家の模型・実物が展示されている。形態の多様性とともに自然と共生した暮らし方が印象的だ。現代の住居が材料やエネルギーなど様々な側面で自然から遠ざかり、持続可能でなくなることへの警鐘を鳴らしているようだ。
 施主といえば、事務棟の入口に、当日工程を流れるユニットの施主ご家族と担当営業マンからのメッセージを写真入で掲示してあった。見学に訪れない限り顔を合わせることのない施主と生産に携わる社員とを結ぶためのコミュニケーションツールとのことだ。注文住宅では当たり前のように造る人達と施主との交流があり、相応の時間を掛けた心の通った家造りがあったが、工業化住宅にも血を通わせようとする好感の持てる試みだ。
初期の製品「パイプハウス」、「ミゼットハウス」  次は「ヒストリカルフロア」。創業者石橋信夫氏は奈良県吉野の出身で、社名の「大和」はこれに由来する。当研究所が奈良市に立地するのも納得できた。このフロアには1955年の創業から現在にいたる大和ハウス工業の沿革と製品が実大模型や写真で展示されている。パネルを組み立てる「ミゼットハウス」や鉄パイプと波型鉄板で作られた「パイプハウス」が半世紀前のプレハブを偲ばせる。ミゼットハウスは1959年当時のお金で11万円、初任給の12ヶ月分程度の価格だったらしい。庭先の勉強部屋などに使われたとのこと。限られた資材でのものづくりに純粋さを感じた。それからわずか半世紀の間の変化、今日の住宅の性能や品質への発展には目を見張るものがある。
 休憩時間の後は、本館内部の最新の住宅部品や技術を紹介する「メッセージステージ」へ。セキュリティ関連では防犯に配慮した様々なアイテム。例えば巧妙な錠前と鍵、異常を知らせるライト、強化複層ガラス、シャッター等々。どこまで進化するのか、泥棒と知恵の比べ合いと見ることもできる。ユニバーサルデザインに美しさを加えた「フレンドリーデザイン」のコーナーは、住宅本体から暮らしの提案へのにじみ出しを感じる。
免震装置の模擬体感   免振装置を介した振動台への試乗は面白い体験であった。地震の振動が建物に直接伝わるのを防いでいる状況を体感する装置で、鋼球を使った「ころがり支承」を活用している。実物の住宅ではパンタグラフ式の減衰装置が付いており、風などで動いては困るので震度5まではロックされる。それを超えると、地震の力を1/8ないし1/11に軽減する。

 最後は、健康住宅関係者の見学をしめくくるのにふさわしい「インテリジェントトイレ」。TOTO機器との共同開発で、尿の検査、血圧、中性脂肪、体重などを毎日の排泄の機会に計測する。データはパソコンへ転送され記録される。健康管理が主目的だが、これを話題に家族のコミュニケーションにも役立つ、とのご説明。「本当にこんなものまで?」と驚くとともに、電気で機能する装置が増えることによるエネルギー消費の増大、そして地球環境の不健康化が気になった。

 見学を申し込んだときには、「技術研究所だから本物の試験装置で実演などを見せてもらえるのではないか」と期待していたが、これはやはり公開対象ではないようで、今回は一般公開部分のみの見学に終った。さらに、予定にあった実験住宅が改装中で見学は叶わず、これも残念。それでも収穫はいろいろあったし、秋の半日を日常とは違う時間の過ごし方ができ、この見学会を楽しんだ。

  最後に、日本健康住宅協会の見学会に快く応じていただいた大和ハウス関係者の皆様とお世話いただいた見学責任者の吉村氏( KJK 事務局)にあつく御礼申し上げる。

濱 惠介/大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所

■大和ハウス工業 総合技術研究所
 〒631-0801 奈良市左京6丁目6-2
 TEL: 0742-70-2111
 (施設の概要は下記ホームページでも紹介されています)
  ホームページ:http://www.daiwahouse.co.jp/lab/ja/

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